7/13-7/14 2回福島・3回小倉5日6日・1回函館11日12日目

過去データの意義とは 〜土曜函館11R・函館2歳S〜

夏の重賞には難解なイメージがつきまとう。一線級の馬は暑いこの時期を休養にあてるのが基本。あえてこの季節を使うのは秋に向けて賞金加算が必要な馬、もしくは大きなところではやや地力不足というクチが大半だ。さらにハンデ戦ともなれば難解度はさらに増すというもの。そこで競馬ファンが頼るのが過去データだ。例えば、「過去10年で○番人気は1度も好走していない」「前走○○組が苦戦している」といった内容が代表例である。

先週の函館記念はデータ派にとっては難しい結末となった。戦前、強調されたのが「前走・巴賞組が苦戦している」という傾向。なかでも巴賞1、2着馬は過去10年で[0-0-0-14]という逆風が示されていた。前走の好走馬はハンデが切り上がることが多く、巴賞組は中1週の詰まったローテ。合理性のある傾向だったといえる。

だが、勝ったのは前走・巴賞1着だったホウオウビスケッツ。巴賞逃げ切りから中1週。斤量0.5キロ増で決して楽な状況ではなかったが、ハナを奪いにきた伏兵アウスヴァールに逃げを譲ったこと、そして二番手でも折り合えた点が勝利を呼び込んだといえる。もちろん、同2戦の手綱をとった岩田康誠騎手の判断も冴えた。また、当日の馬場状態も見逃せないポイントだろう。函館最終週の傷んだ洋芝は差し比べをイメージしやすいが、天候に恵まれた今年は見た目ほど悪い馬場ではなかった。速い時計が出るなら、先行型を中心にマークすべきだったのかもしれない。

いずれにせよ、過去データは軽視こそできないものの、当日のシチュエーションやメンバー構成も極めて重要だということ。当然ながら、出走馬は毎回違うわけであり、天候や馬場状態も毎年異なるのである。はたして、そのデータは本当にあてになるのか。季節を問わず、冷静な判断力が求められる。

それでは本題へ、今週斬るのは土曜函館11R「函館2歳S」芝1200m。ここで弊社予想部が軸馬として期待したのは最終的に1番人気となった7番サトノカルナバルだった。

『サトノカルナバルの前走はただ1頭、次元の違う脚で圧勝。次位に1秒差の上がり3ハロンはもちろん、開催最終週かつ稍重の東京芝を難なくクリアした点を高く評価すべき。さらに中間の調整にも好感が持てる。実際、当地に着いてからも環境の変化に物怖じせずカイ食い良好。美浦の乗り込み時もテンションが程よく、クビを上手に使って重心を下げる好内容だった。走り方もダイナミックかつ推進力があるため、洋芝への対応も問題はないはず。もちろん今回は距離短縮、右回りと課題は少なくない。しかし、名門・堀厩舎がここを使うのはスピードの良さやミオスタチン遺伝子型(3型あってTT型は長距離、CT型は中距離、本馬のCC型は短距離向きに分類される)など強い根拠があってのこと。ポテンシャルの高さから不安より期待の方が上回っており、世代初の重賞Vに期待する』という見立て。

レースは良場発表の14頭立て。2歳戦ということでバラけたスタートだったが、内から5番ニシノラヴァンダが勢いよく先手を主張。これに6番モズナナスターと1番エンドレスサマーが続き、軸馬7番サトノカルナバルも加わって好位を形成する。外枠の14番ヤンキーバローズと13番エメラヴィは中団より後ろの位置取りとなった。
前半600m通過は34秒0のハイペース。好位勢はポジションを保ったまま、いよいよラストの直線へ。逃げた5番ニシノラヴァンダが粘り込みを図るが…。結局、一頭だけ脚色が違う軸馬7番サトノカルナバルが強襲して1着ゴール。2着に5番ニシノラヴァンダ、好位の2番手で耐え忍んだ1番エンドレスサマーが3着に入線した。

この結果により、「馬連5-7、2,280円&3連複15-5-7、3,370円」の的中をお届け。戦前のデータでは「前走函館組が優勢」「距離短縮は苦戦」「関西所属馬が強い」などデータが示されていたが、軸馬7番サトノカルナバルはいずれも該当せず(前走=東京1400m/美浦所属)。奇しくも、前述の函館記念と同様に“データクラッシャー”が出現した形である。なお、2着の5番ニシノラヴァンダも関東馬で8番人気だった。人気やデータに拘泥しなかったこと、2歳世代最初の “一番星”を綺麗に仕留めたこともあって、会員様からは高評価のお声をいただいた次第。
この週は他にも、厳選勝負鞍で4戦3勝を達成。日曜は小倉で「線状降水帯」が発生するなど難しい局面ではあったが、それでも準パーフェクトなら上々といえる。引き続き弊社は、天候や馬場傾向、そして「過去データの信憑性」を疑いつつ、夏競馬を邁進していく構え。会員様におかれましては、夏本番へ右肩上がりで向かうアスコットに多大なるご期待をお寄せいただきたい。