3回東京、2回中京3・4日目

これからが本当の馬券の季節 ~土曜日中京11R・金鯱賞~

 張り詰めた緊張感の中スタート。外枠で1頭出遅れ。その瞬間レースそのものが違うものになってしまった今年のダービー。誰もが逃げると踏んでいた皐月賞馬ヴィクトリーのスタートミス。なんと1コーナーを17番手で回っていく。すかさずハナに行ったのが福永=アサクサキングス。隣の枠にいた強力な逃げ馬が消えてしまったのだからこの判断は当然。1000m通過60秒5のスローペース。ヴィクトリーが普通に逃げていれば間違いなくあと1秒は速いペースになっていたはずだ。予想外の緩い流れにフサイチホウオーが折り合いを欠いてしまった。ダービーを掛かって好走した馬は記憶にない。その時点で単勝オッズ1.6倍の大本命馬は消えた。結果は中団のインで完璧に折り合って行ったウオッカの楽勝。今年の牝馬のレベルの高さを思えばこの勝利も納得。恐らく、ケタ違いに有利な斤量で出られる凱旋門賞でも勝ち負けになる。自分の形に持ち込めば想像以上に渋太いのがアサクサキングス。ハナを取り切った時点でこの好走はある程度見えていた。ただ、ほとんどの人間にあの展開が見えなかっただけ。だから14番人気なのだ。それもこれもあの馬がスタートでいなくなってしまったから。皮肉な言い方になるが、皐月賞に続きダービーの主役も田中勝=ヴィクトリーだった。
 トップハンデ58.5キロのポップロックが貫禄を示した目黒記念。しかし、このレースの主役は誰もが「ダービーに出したかった」と感じたに違いないココナッツパンチの力走。この時期の3歳馬が東京2500mのG2で歴戦の古馬相手にクビ差2着。しかもこの馬はここがデビュー4戦目。常識外れという点では牝馬のダービー制覇と同等のものがある。ちなみに、目黒記念の2400mの通過タイムは2分25秒3。ダービーの勝ちタイムより0秒8遅いが、1000m通過は2秒も遅かった。その意味をジックリと考える必要がありそうだ。
 土曜日の金鯱賞はローゼンクロイツ→スウィフトカレントという中京巧者同士の決着となった。1000m通過57秒6というキツい流れを早目に動いて4コーナー2番手、そのまま押し切ったローゼンクロイツの強さが際立つ。よく使われるフレーズだが、これこそが「着差以上の強さ」というやつ。展開に乗じて差し込んできた2着馬との力差はかなり大きい。
 さて、実を言えばこの金鯱賞が今回斬るべき的中鞍。「前走の中山記念が大惨敗。そのためこの中間はリフレッシュの意味でひと息入れ、その後ここに目標を定めて調整されてきた。攻め馬の動きは相変わらず絶好。これで走らなければ内面的な問題としか思えない」として5番人気のインティライミを軸馬に指名。結果はゴール前猛追、最後の最後にヴィータローザをハナだけ捕らえて3着を強奪。馬連は不的中に終わったが、1-6-8の組み合わせで3連複2260円の的中となった。正直に言うと残り200mの時点では八割方諦めていた。ゴール後も非常に微妙な写真判定で大いに気を揉んだが、結果ハナ差3着にホッとひと息。まぁそれはそれとして、ここはローゼンクロイツ軸が本筋だった。3連複の一方の軸馬に据えているのだからムリな注文ではないはず。結果論ではなく、そうしておけば馬連&3連複のダブル的中(それも大本線で)になっていたのだから。『よりハイリターンの的中を』それが我々に課せられた使命のはずだ。
 ダービーが終わると春競馬もピークは過ぎた雰囲気になるが、今週末にはG1連戦の最終戦となる安田記念が控えている。その他にも興味深いレースが目白押し。まだまだ息を抜くわけにはいかない。ある意味で言えばこれからがプロの本当の出番。引き続き楽しみにお待ちいただきたい。