10/26-10/27 4回東京・5回京都・4回新潟7日8日目

歴史に残る一戦 〜日曜東京11R・天皇賞秋〜

東京競馬場で開催された天皇賞(秋)は、武豊騎手騎乗の2番人気ドウデュースが優勝した。戦前に流れは速くないだろうと想定されていたものの、実際のレースは前半1000m通過59秒9という極端なペース。昨年が同57秒7、一昨年は57秒4だから今年の流れは特別に遅かったといえる。
そんな中、武豊騎手は後方に陣取る大胆な作戦を選択する。本人にとっても想定以上に緩い流れだったはずだが、ハナから腹をくくっていたのだろう。ドウデュースの長所を引き出すために、迷わず下げた。同馬の決め手が生きるシチュエーションは、序盤でじっくり脚をため、最後の直線で真一文字に走らせることだ。途中で馬群を捌いたり、速いペースで先行するは歓迎ではない。しかし超がつくスローでその策は奏功するのか…多くの競馬ファンが固唾を飲んだに違いない。
しかし終わってみれば、上がり600m32秒5の豪脚一閃。完勝だった。この上がりの数字はJRAのG1で記録された中で最速。スプリントG1はおろか、アーモンドアイもイクイノックスをも上回る末脚である。ドウデュースに自信の◎を打っていた弊社予想部もこれには驚きを隠せなかった様子。ある意味、これほどの逸材が「単勝380円」で買えたのだから、信じた人は報われた。
オッズがここまでついた要因はいくつかあるだろう。同馬が休み明けだったこと、近2走で惨敗していたこと。そして年内の「天皇賞・秋」→「ジャパンC」→「有馬記念」で引退を表明していたこと。地力はあるにしても秋初戦のここはメイチではないかもしれない…そんな懸念が指摘されていた。しかし弊社の見立ては180度異なっていた。以下はレース当日にお送りした見解だ。

「軸馬ドウデュースは、2走前のドバイターフが直線スムーズに追えず脚を余す形、宝塚記念は道悪のイン追走と、いずれも不完全燃焼に終わった印象。しかし、昨年の有馬記念(中山2500m)を制しているように底力は現役屈指である。また、朝日杯FS(阪神1600m)、日本ダービー(東京2400m)を勝っていることも強調したい。距離やコースに特化したタイプが多い昨今、異なる条件のG1を3つ獲っている本馬は格別のポテンシャルであり、年内引退が惜しまれる一頭だ。
ここへ向けた仕上げの本気度も強調すべきだろう。実際、1週前CWは5ハロン65秒5-ラスト2ハロン22秒1と目一杯かつ破格の動きをアピール。最終をポリトラックで流す友道厩舎の「勝負調教」であることも含め、抜群のコンディションといえる。今回、東京2000mのG1を獲ると“種牡馬としての価値”はどうなるのか。引退後をも見据える名門厩舎の意図も見逃せない要素である。500キロを超す雄大かつ筋肉質な馬体から2000mの瞬発力勝負はベストの設定。もとより、除外明け&乗り替わりとなった昨年とは明らかに状況が好転している。ここは本来の能力全開でV濃厚だ」

同馬に関する不安点について説明していることはもちろん、ここを落とせない理由も述べていることがお分かりだろう。実際、2歳から5歳まで4年連続でG1を勝った牡馬はグレード制導入以来でドウデュースが初めて。しかも1600m〜2500mの距離、中山・阪神・東京と、いずれもまったく異なる設定なのだから偉大である。久しぶりにとんでもない競馬を見た。そんな感慨に耽る今年の天皇賞・秋となった。

なお、先週の弊社は上記以外にここに記すような結果をお届けできなかった。前週までは好調だっただけに、会員様にはこの場を借りて深くお詫びを申しあげたい。不的中となったレースの多くが出遅れや不利などトラブルが原因だったことは明らかだが、改めて枠の並びや馬の気性の揺らぎなど、細部まで行き届いた予想をお送りすべきと肝に命じた次第だ。幸いにも今週末からは開催替わりである。不運の翌週に即巻き返してきたことも、お付き合いの長い会員様はご存知のことだろう。弊社予想部による今週末の奮起に強くご期待をいただきたい。