3/25 3/26 ・3回中山1日2日目分・2回阪神1日2日・2回中京5日6日分

雨中の会心鞍 ~日曜阪神8R・4歳上1勝クラス~

今年も雨に見舞われた春のG1シーズン開幕戦「高松宮記念」。昨年は重馬場で3連単278万円だったが、今年はさらに道悪の不良馬場。再度の波乱が頭をよぎる中、今回も3連単66万円という決着となった。勝利したファストフォースは、やや後ろの位置取りから早めに抜け出す完璧なレース運びでG1初制覇。ムラな戦績や上積みの見込みづらい年齢で低評価に甘んじていたが、実際は中京コースにも道悪にも適性があり、混戦の今回は勝利資格を十分有する一頭だったはず。しかも、前走のシルクロードSでは今回2着のナムラクレアと五分に渡り合っていた訳だから、12番人気という評価には意表を突かれた。なお、馬の勢いを損なわないように3角からポジションを譲らず押していった団野騎手も見事。本人は“他馬の邪魔をして申し訳ない”と反省しきりだったが、それを差し引いても十分に讃えられる初タイトルだった。また、3着のトゥラヴェスーラは昨年4着の実績があったが、雨中の最内枠が嫌われたのかこちらも13番人気。終わってみればそんな逆境が奏功した印象もあるが、腹を括ってインに賭けた丹内騎手の度胸を褒めるべきだろう。キャリア20年で未だタイトルに縁はないが、近い将来のG1戴冠を予感させる名騎乗だった。ナムラクレアに関しては誰もがトップクラスの能力を認めるものの、またしても不運の敗戦。馬場や枠はこの競技につきまとうものではあるが、デキは非常に良かっただけに悔しい一戦となった。競馬にタラレバは禁忌とはいえ、もし良馬場ならどんな結末だったのか。そんな思いもよぎる23年春の短距離決戦だった。

それでは本題へ。今週斬るのは日曜阪神8R「4歳上1勝クラス」ダ1800m。このレースで軸馬として期待したのは、1番人気に支持された7番ワンダフルトゥデイだった。

『前走は1番人気で大敗だったが、当時は久々の割に本数が少なく8分程度のデキ。しかも厳しくマークされる競馬だったから度外視可能だ。そこから一転、今回は強い負荷をかけた追い切りを実施。一度叩いた効果も含めて力を出せる状態まで仕上がった。また、テン乗りの前走が消極的だっただけに、今度は好走時のような積極策にも期待可能。実績を振り返っても現級では力上位であり、押し切り必至』という見立て。

レースはほぼ揃った発馬で開幕。前に行くのは4番ソルトゴールド、5番ベイパーコーン、軸馬7番ワンダフルトゥデイ、10番スマートビクターの4頭。しかし、5番ベイパーコーンが全く引く気をみせず主張したことにより、積極策に出ると想定された軸馬ワンダフルトゥデイを含めた3頭は競り合わず一旦控える形。それでも前が速く、後続は3馬身ほど開いて内から2番ガールズヒロイン、6番カイザーレオン、8番キングリスティアが横一線。さらに3馬身差で1番ミルトボス、3番ジェイエルブリッジまでが中団。後方にかけては、12番ブラックサウザー、11番コンテナジュニア。最後方にポツンと大きく離れて9番ダンツエスプリという隊列。
主導権を取った5番ベイパーコーンは400m24秒0と速い流れで縦長の展開。とはいえ、このペースでは持つはずがなく、次の2ハロンでは600m37秒8、800m50秒9と一気に13秒台にペースダウン。ここまで落ちると後続も慌ただしくなるが、そんな中、早めのマクリに出たのは8番キングリスティア。緩んだ流れも手伝ってアッという間に外目の3番手まで浮上した。これで多少ラップは上がったが、1000m通過の時計は実に63秒3。脚抜きのいい馬場を考えても、全体では完全なスローペースだった。
こうなると後続の追い上げも早く、3コーナー手前では馬群全体が9馬身ほどにまとまる。3角に入って先行勢が加速を始めると、逃げた5番ベイパーコーンはここで脱落。変わって先頭に出たのは番手追走の10番スマートビクター。だが、差がなく追従する8番キングリスティアも手応え抜群で、2頭並走で直線の攻防へ。
2頭が一気に加速したため後続とは3馬身ほどの差。しかし、そのマッチレースに待ったをかけたのが、追い上げ態勢に突入した軸馬7番ワンダフルトゥデイだった。前2頭の争いは残り2ハロンで8番キングリスティアが徐々に抜け出し。これを目掛けて追い込む軸馬7番ワンダフルトゥデイに焦点が移るが、残り400mで先頭とはまだ2馬身…。差を詰める軸馬7番ワンダフルトゥデイの脚色は優勢だが、間に合うかどうか手に汗握る展開。それでも軸馬7番ワンダフルトゥデイの勢いは圧倒的で、一完歩毎に差を詰めるとゴール直前に8番キングリスティアを捕まえて、終わってみれば1馬身差の快勝となった。入選順は、1着軸馬7番ワンダフルトゥデイ、2着8番キングリスティア。3着には最後まで粘った10番スマートビクターが入線した。

この結果により、「馬連7-8、2,380円・3連複7-8-10、2,930円」を的中。戦前は軸馬の逃げを想定していただけにヒヤッとさせられたが、終わってみれば能力が違うと言わんばかりの楽勝。2着の8番キングリスティアが8番人気だけに本音はもう少し配当に期待したが、対抗10番スマートビクターの馬券圏内は有力と判断して3連複も指示したことはOK。買い目の妙が奏功してのダブル的中なら一定の評価をいただけるはずだ。
引き続きの馬場悪化で、馬券ファンにとっては極めて難しい判断を余儀なくされた先週。そんな状況下、厳選勝負鞍で好配当をお届けできたことには大きな意味がある。

さて、話は変わるが今週は古馬の中距離王を決める「大阪杯」がスタンバイ。注目は、前哨戦Vから悲願のG1初制覇を狙うヴェルトライゼンデ、ヒシイグアス。そして、牝馬とはいえG1馬の称号を持つスターズオンアース、ジェラルディーナあたり。ここに直近の重賞で勝ち負けしてきた実績馬も加わるから、まさに群雄割拠だろう。果たして、今週もG1初制覇を見られるのか、はたまた強力牝馬が席巻するのか。無論、先週の高松宮記念がそうだったように、低評価の伏兵陣も虎視眈々だ。そんな興味の尽きないこの大阪杯も、もちろん弊社の勝負鞍候補。こと、予想部では人気薄濃厚な一頭の勝負気配に注目しているので、引き続き当日の買い目に大きくご期待いただきたい。